成年後見契約について
本年4月1日から「任意後見制度」が開始しました。 これは、高齢者などは意思能力がしっかりしている内に、 後見契約を後見人と締結して「自分が本人の意思能力がなくなった場合にはこうしてくれ。ああしてくれ」と言うことを託しておき、 現に意思能力がなくなった段階で家庭裁判所が後見人の申立てにより、後見監督人を選任した段階で後見がスタートするという制度です。 この制度は、後見について本人の意思を尊重しようというものです。後見契約は、公正証書で作成する必要があります。 後見人の報酬は、後見契約で定めることになります(後見契約は委任契約ですから、報酬の定めがないと無償ということになります)。 後見監督人の報酬は家庭裁判所が後に審判で決定します。
この成年後見の後見人は弁護士に限りませんし、なんと法人でも可なのです。 介護と並んで「ニュービジネス」になるのかも知れません。 現に司法書士会などは業務拡大のチャンスとばかりにそのための社団法人を作り、 積極的に準備をすすめておりますし、遺言作成や遺言執行の業務をしている信託銀行でも研修会をしているようです。 ただ、後見契約で後見人は何を託されるのか、なんでもかんでもになりはしないか、 その場合に契約で決めた後見人の報酬と見合うのか、相続人予定者とのトラブル(後見開始の段階ではまだ相続は開始していないが 「うちの年寄りをだまして何をするんだ」といった苦情など)「やってみなければ分からない部分」も多くあり、 今後の運用実績次第という要素もあります。

(予告)
本年4月1日から施行された法律の中で皆さんにご紹介したいものがもうひとつありますので、 「知っててお得な法律情報」はあと一回掲載させていただきます。次回は会社を立て直す際の「民事再生法」です。
その次からは、いよいよ新連載「ソフトエンジニアのための知的所有権法のコモンセンス100(仮称)」が始まります。 乞う、ご期待。
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